買い物弱者

買い物弱者(かいものじゃくしゃ)とは、食料品や日用品などの日常の買い物が困難な状況に置かれている人々を指す言葉で、「買い物難民」とも呼ばれます。経済産業省や農林水産省の定義では、「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々」とされています。推計では、日本全国で700万人以上(65歳以上の高齢者の約4人に1人)が買い物弱者に該当するとも言われており、都市部・地方部を問わず全国的な課題となっています。
主な要因としては、社会構造の変化に伴う3つの要素が挙げられます。第一に「店舗の減少」です。過疎化や人口減少、大型ショッピングモールの郊外進出などにより、徒歩圏内にあった地元の商店街やスーパーマーケットが撤退・廃業し、近隣に生鮮食品を買える店がなくなる「フードデザート問題」が発生しています。第二に「交通手段の不足」です。地方鉄道や路線バスの減便・廃止が進み、マイカーを持たない高齢者が遠くの店舗まで行く手段が限られてしまいます。第三に「身体機能の低下」です。高齢化が進み、自動車の運転免許を返納したり、重い荷物を持って歩くことが困難になったりする高齢者が増加しています。
この問題は、単に物が買えないという不便さだけにとどまりません。新鮮な食材が入手できなくなることでの「低栄養」や健康悪化、買い物という外出機会の減少による「社会的孤立(閉じこもり)」、さらには認知機能の低下などにもつながる深刻な社会課題です。これまでは自治体やNPOによる移動販売車、民間企業の宅配サービス、コミュニティバスなどが対策として講じられてきましたが、人手不足や採算性の問題により、これらのサービスの維持も難しくなりつつあります。
そこで、持続可能な解決策として注目されているのが「ドローン配送」をはじめとする新技術です。ドローンであれば、山間部や離島などの地理的条件が厳しい地域でも、空から直線的に物資を短時間で届けることができます。定期的な配送により、食料品の確保だけでなく、医薬品の受け取りや、住民の見守り活動としての役割も期待されています。実際に、日本郵便やベンチャー企業によるドローン配送の実証実験や商用化が各地で始まっています。また、自動配送ロボットが住宅地を巡回して商品を届けるなど、新たなテクノロジーによるラストワンマイルの解決策が、買い物弱者を救う切り札として社会実装され始めています。