ラストマイル配送の革新と再配達問題

ラストマイル配送の革新と再配達問題

再配達問題が物流業界に与える影響

EC市場の拡大に伴い、ラストマイル配送における「再配達問題」が物流業界全体の課題として認識されています。消費者が不在時に荷物を受け取れず、ドライバーが同じ届け先に複数回訪問しなければならない状況は、配送コストの増大とCO2排出量の増加を招きます。

国土交通省の宅配便再配達調査によると、2023年4月時点の宅配便再配達率は約11.4%と報告されています。この数値は、年間で膨大なドライバー稼働時間と燃料消費を意味し、物流業界の持続可能性に直接影響します。再配達のために発生する追加走行は都市部の交通渋滞を悪化させ、配送コスト全体を押し上げる要因にもなっています。

共同配送による積載効率の向上

再配達問題を含むラストマイル配送の課題に対し、有力な解決策の一つが「共同配送」です。複数の配送事業者や荷主が連携して荷物をまとめて運ぶ仕組みであり、1台あたりの積載効率を高め、配送ルートを最適化することで走行距離と燃料消費を削減します。

共同配送の実現には、企業間でのシステム連携やデータ共有の仕組みが不可欠です。国内では国土交通省が推進する「物流標準化」の取り組みのもと、荷主・運送事業者・倉庫事業者が一体となった配送効率化が進められています。1台の車両がより多くの荷物を効率的に届けられるようになれば、ドライバー不足問題の緩和にも寄与します。

スマートロッカーと置き配が変える受け取り体験

再配達削減のもう一つの柱が、スマートロッカーと置き配の普及です。駅や商業施設に設置されたPUDOステーションなどのオープン型宅配ロッカーは、消費者が都合の良い時間帯に荷物を受け取れる環境を提供します。配送事業者側も、宅配ロッカーへの一括投函により再配達の必要がなくなり、1ルートあたりの配送効率が向上します。

置き配サービスは、玄関前や宅配ボックスへの配置で対面受け取りを不要にする手段として急速に普及しています。ただし、盗難リスクや集合住宅での利用制限など、セキュリティ面での課題も残っており、各社は写真撮影による配達証明や電子ロック付きボックスの導入で信頼性向上を図っています。

テクノロジーが支える配送通知と受け取り調整

再配達を根本から減らすためには、消費者との事前コミュニケーション強化も重要です。AIを活用した配送時刻予測システムは、当日の到着時間をより正確に通知し、消費者が受け取り準備をしやすくします。配送前日・当日にSMSやアプリで配達予定時刻を案内し、消費者が時間帯変更やロッカー転送をリアルタイムで指定できる仕組みも普及しつつあります。

物流DXの観点から見ると、AIルート最適化と受け取り調整システムの連携は、配送完了率を高める上で相乗効果を発揮します。経済産業省の物流DX推進政策でも、デジタル技術を活用した需要予測と配送効率化が重点課題として位置付けられています。

消費者行動の変化と持続可能な物流の実現

ラストマイル配送の効率化は、配送事業者と物流企業の取り組みだけでなく、消費者側の受け取り行動の変化によっても大きく左右されます。置き配への同意、宅配ロッカーの積極的な活用、配達時間帯の明確な指定といった消費者の一つひとつの選択が、再配達率の低下に直結します。

共同配送の拡大、スマートロッカーネットワークの整備、AIによる配送時刻精度の向上が組み合わさることで、再配達コストの削減とCO2排出量の低減を同時に実現する持続可能な物流モデルの構築が期待されています。ドライバー不足と環境負荷という二重の課題に対応するためにも、技術革新とインフラ整備を並行して進めることが求められます。